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さらさら

さらっと、さらさらと。サラリーマンがサッカーとかゴルフとかを語ります。

EU離脱、「全英オープン」は最後になる?

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EU離脱というショッキングな結果となったイギリスの国民投票

これを受けて、“グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国”としてのEU離脱にとどまらず、スコットランドウェールズの独立機運再燃という副産物も発生しました。

仮にスコットランドウェールズが独立してEUに残留するとなると、大国の分裂という世紀の大事件です。政治経済への大影響はもちろんの事、スポーツ界も対応を迫られます。

 

そんなイギリスのビッグスポーツといえば、なんといってもサッカーのプレミアリーグがありますし、ゴルフとテニスの「全英オープン」もまた、世界的な超ビッグイベントです。

各競技とも対応を迫られるでしょうが、プレミアリーグ全英オープンはもはやイギリスという一国の枠組みを超えた存在であり、その大会価値は変わらず維持されると思います。きっと各競技団体が柔軟に対応することでしょう。

 

「全英」 という日本語訳は押し通せるのか。

 

難しいことはわかりませんが、素朴な疑問として「全英オープン」っていう名前はどうなるんでしょうか?

 

 テニスは「The Championships Wimbledon」が正式名称で、開催場所もロンドンのウィンブルドンです。仮に連合王国が分裂してイングランドのみとなっても、「英国」はイングランドの日本語表記となるでしょうから「全英オープン」としていいでしょう。

 

問題はゴルフです。

 

そもそもゴルフの発祥はスコットランドです。イギリスのゴルフ競技団体であるR&Aもスコットランドのセント・アンドリュースに置かれていますし、「全英オープン」の開催地もローテーション制で、5年に1回はセント・アンドリュースで開催されることが慣例となっています(※セント・アンドリュース以外の開催コースは、何年後にまわってくるとは約束されない)。そのローテーションによって、これまではスコットランドイングランドで開催されてきた訳ですが、両国が分裂したところで、競技団体の軸足はスコットランドに残ります。

 ただし、こちらも正式名称は「The Open」。両国が別々の国になったとしても、世界的には現行の名前と方式のまま開催できるんじゃないでしょうか。

 

そうなった場合の問題は、我ら日本人です。

 

イギリスとは別国であるスコットランドの主催ですから、「全英オープン」ではないんじゃないかと。。。

カナダが主催国の選手権大会を「全米選手権」とは言わないのと同じですよね。。。

スコットランドの日本語表記は「蘇格蘭」です。つまり「全蘇オープン」?

いや、これからもイングランドとローテーションするとなると「蘇英オープン」?

まさかの世界標準、「ジ・オープン」?

いずれにせよ、近く「全英オープン」という名前がなくなる可能性はあるんじゃないかと。

 

きっと考えなくちゃならないのは、もっと別の問題。。。

でも、こんなどうでもいいことが気になるんですよね。。

 

【了】

ヴァーディ、マフレズ、心のままに行け。

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 「EURO2016」の開幕を前に、レスター・シティのエースストライカー、ジェイミー・ヴァーディのアーセナル移籍交渉が進行中だというニュースが駆け巡っています。当然、レスターサポーターからはドひんしゅくを買っているようです。

 

 そして2大エースのもうひとり、リヤド・マフレズや、チームの心臓、ヌゴロ・カンテにも獲得オファーの噂が錯綜中です。

 

 全員決して若くはないですし、ビッグクラブからのオファーとなれば、心がざわめかないはずがないでしょう。心のままに行きたいところへ行けばいいと思います。

 

 私も主力全員が残留するという「おとぎ話の続き」を期待する気持ちはあります。しかし、そんな期待があるからこそ、それを打ち砕く強奪ストーリーにハラハラドキドキできるのも事実。

今季の順位賞金が上がったとはいえ、資金力でビッグクラブに対抗することは不可能でしょう。常識的に考えれば、レスターが草刈り場になることは当然の流れです。

 奇跡のレスターイレブンが解体されてしまうとしたら残念ですが、現実はトッテナムウェストハムエバートンあたりが、7強、8強というより拮抗したパワーバランスをつくっていくべき存在でしょうし、実際そうなっていくのではと思います。

 とにかくもっともっと混沌とした戦乱のリーグになってほしいものです。それがさらなるプレミアリーグの魅力につながるでしょう。

 

 一方ドイツでは、ドルトムントがあまりにも無防備に草刈り場になっていて、本当に1強が完全固定されるのではと心配になります。。。

 ビッグクラブがありながらも、多くのチームに優勝のチャンスがある。プロのリーグスポーツは、この状態が一番面白いと思います。

 日本に無いのはビッグクラブですね。レッズに期待してますが、やはり都内にサッカー専用スタジアム、欲しいなあ。

 

【了】

beamrivercity.hatenablog.com

残念ながら、言葉は内容よりも重み。

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なぜか許される人。

 先日、親会社の支店で人気者の中堅社員が退職するということで、事務所の近くのレストランでお別れ会が開かれました。

 

 退職する彼はとてもいいヤツで、年上で別会社の私にも気兼ねなく声をかけてくれて、帰りに一緒にラーメンを食べに行ったり、休日に彼の部署のゴルフに参加させてもらったりと、何かと交流がありました。どんなときも周りへの気遣いを忘れない、体育会系の見本みたいな気持ちのいい男でした。

 

 そんな彼のお別れ会に参加していたのは、支店のメンバーを中心に20人くらいだったと思います。宴もたけなわな中、参加者がひとりずつ彼へのメッセージを述べる時間になりました。

みんなが彼の人間性を讃え、涙を流すひともチラホラ。愛されキャラだった彼のひととなりがうかがえました。普段は笑いを取りに行く彼も、この時ばかりは神妙な顔で聞き入っていました。

そんな中、最後にメッセージを送ることとなったのが、彼の部署で最高位にある顧問さんでした。 定年間近になる顧問さんは目頭の涙を拭って言いました。

 

「この業界の営業としては、彼は私が見た中で最高の営業マンだったと思います。でも、資質だけでは上手くいかないこともありますね。本当は彼のような男が偉くなって会社を引っ張っていくべきたと思います。外で修業を積んで、また是非ウチに戻って来てほしい」と。

 

 会社のお偉いさんがみんなの眼の前で、辞めて行く社員に「君が最高だった。戻って来てほしい」と発言することは、一歩間違えば他の社員に対する失言です。

  でも、この顧問さんにはそう感じさせない人間味があるんです。悪意や打算がないというか、いい意味で空気なんて読まない。決して聖人君子ではないけれど、間抜けなくらい(失礼)真正直に人と接するので、誰もが嫌いになれないわけです。

 

 言葉というのは本当に不思議なもので、“何を言うかよりも、誰が言うかが重要”だとつくづく思いました。前述の顧問さんの言葉も、彼が言うからわだかまりなく聞き流されますが、人望のない人間から発せられれば、後々まで反感を買うものとなったでしょう。

 

ジダンの言葉は重いか。

 言葉とは、最も重要な情報伝達手段でありながらも、条件によって伝わり方が大きく揺らいでしまう非常に不安定なものです。

同じ言葉でも、“どんな状況で誰が言うか”によって、100の力を持つこともあれば、誰にも届かないこともある。

 

 サッカー史上屈指の選手だったジネディーヌ・ジダンが、レアル・マドリードの監督としてヨーロッパチャンピオンズリーグを制しました。

決勝戦の相手は闘将ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリード。戦術浸透度や選手交代を見ても、純然たる監督としての実力はシメオネが上だと思います。

しかし、チームをひとつの戦う集団として送り出す人心掌握に関しては、ジダンは決して敵将に引けを取らなかったと思います。

 万策尽きた感のあった延長戦でズタボロになって走り回るクリスティアーノ・ロナウドやベイルの姿、相手の高速カウンターを封じるために、あえてポゼッションを譲る戦術などからは、レアルがしっかりと「チーム」になっていることが感じられました。

 

 クリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、プライドの高いスーパースター集団をまとめられる言葉とは、内容が正論かどうかではなく、選手の心に届く重みを持った言葉でしょう。

 

 現役時代のジダンは、世界最高の選手と言われながらも、シャイで無口な性格。とても監督になるようには見えませんでした。平和な解説者生活を送ることもできたのに、選手としての実績が通用しないポジションで、再び戦いの舞台に戻ってきた。

 PK戦にまで及んだ死闘の中、円陣の中心で激しく選手を鼓舞するジダンの姿は、現役時代のイメージとはかけ離れていて、戦うために彼は変わったのだろうという感動すらおぼえました。

 

 「心意気」。古臭い言葉ですが、スーパースター軍団を見事にまとめたジダン監督からは、これが感じられるんじゃないかと勝手に思っています。

プレーヤーとして群を抜いていたから選手がついてくるのではなく、あのシャイで無口だったジダンの戦う背中が、名選手としてのカリスマ性にとどまらない何かを醸し出しているのではないかと。

レアルの監督は、タイトル争いから脱落しそうになっただけで解任されるかもしれないリスクの高いポジションです。彼ほどのレジェンドが、針の筵になる可能性が十分にあった中で、シーズン途中にその一歩を踏み出したという心意気を、選手たちも評価しているのではないでしょうか。

 

だからこそ、ジダンの言葉には内容以上に伝わる重みが備わったのではないかと。

 

 ジダンシメオネ。キャラクターも、率いるチームの環境も異なるふたりですが、「その場所に必要な言葉を持ち得る人間」という意味では、この日の彼らは同じだったのかもしれません。

 「正しい内容」よりも、「伝わる重み」。言葉に重みのない私からすると、とても残念なことですが、それが世の中の組織の実態です。サラリーマンの世界でも、人を引っ張らなければならないリーダーに求められるのは、そういうものなんじゃないかと思います。 

 

 ジダン監督、案外ビッグクラブ向きの監督として大成するのかもしれません。 

 

 【了】

サディク・カーン新ロンドン市長誕生と、プレミアリーグの栄華

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 カーン市長を誕生させたロンドン

 先日のロンドン市長選で、野党・労働党のサディク・カーン氏が、イスラム教徒として初のロンドン市長に当選したというニュースがありました。

対抗馬の保守党候補が、露骨な「反イスラム戦法」でひんしゅくを買ったことなど、要因は様々あるようですが、このご時世にイスラム教徒の市長を誕生させるロンドンという都市の底力、成熟度には心底感服します。

 一方、アメリカ大統領選はトランプ氏の躍進に世界が戦々恐々としています。しかしそんなアメリカも前々回の大統領選では、バラク・オバマ氏を初のアフリカ系大統領に選びました。

 どちらも多様性という信念を尊重してきた都市、国だからこそ、成し得た偉業でしょう。

 生まれてこのかた東京以外で暮らしたことのない私から見ると、ロンドンやアメリカって、多様性を受け入れる「開かれた場」であることの凄みをビシビシ感じるんですよね。

 

 結局、「ヒト」・「モノ」・「カネ」が流れていくのは、こうした「開かれた場」であって、閉鎖的な「ムラ社会」はいずれ必ず勝てなくなる。。。それはスポーツビジネスの世界でも同じなんじゃなかろうかと。

 

プレミアリーグの栄華

 サディク・カーン市長を誕生させたイギリスといえば、もちろんイングランド・プレミアリーグを抱えています。数々の外国資本を受け入れ、外国人枠もない、まさに世界最高峰の「開かれた場」です。いまや世界一の人気リーグの地位を不動のものとし、いよいよ本格的に他国を引き離そうかという勢いです。

 テレビ放映権料はさらに高騰し、最下位チームに配分される放映権料ですら、ドイツの盟主バイエルン・ミュンヘンを大きく上回ります。全チームにこれだけ強烈な収入源があれば、当然各チームとも優秀な選手の獲得が可能になります。下位チームまでもが世界的なプレーヤーや有望な若手を1、2名獲得できれば、リーグの勢力図はより高いレベルでの拮抗状態となり、これまでビッグクラブだけのものだった優勝争いのチャンスが、すべてのチームに巡ってくることになります。

 こうなると、1強、2強が突出しているリーグは、もはやコンテンツとしての魅力で太刀打ちできなくなるでしょう。

 プレミアリーグという仕組みは、ますます多くの「ヒト」・「モノ」・「カネ」を呼び込み、バブルを超越したスーパーリーグになっていくかもしれません。

 

日本はどうすればいいのか、誰か教えてください 

 翻って、我らが日本サッカーは、Jリーグは、一体どうしてゆけばいいのでしょう? 

 世界から「ヒト」・「モノ」・「カネ」を呼び込める「開かれた場」になっていくべきなのか? 

それとも日本人による日本人のための日本独自のやりかたを突き詰め、「特殊な一地域」としてアイデンティティを保っていくべきなのか。。。

最終的に強いチカラを持つのは前者でしょうが、今日まで単一民族でやってきた特殊なお国柄です。たとえJリーグ地盤沈下を目の前にしても、どこまで思い切った改革ができるでしょうか。それこそ「維新の志士」が必要かもしれません。。。

 

 なんだかこれって、サッカーだけでなく、日本という国がこれからどういう方向に向かっていくべきかということにもつながってくるように思えます。

 

 じゃあ移民を受け入れようというのは極端な話ですが、「開かれた場」になるのか、それとも「特殊な一地域」としてダウンサイズしていくのか。国の事として考えると、本当にどうしていいのか、自分の中でも答えがでません。

 

 ただサッカーに関して言えば、Jリーグが百年構想の理念を貫くためには、単に社会とJリーグシュリンクしていくのを、指をくわえて見ているわけにはいきません。俄然「開かれた場」を目指すべきでしょう。AFCアジアサッカー連盟)の国からもっともっと「ヒト」・「カネ」を受け入れ、2020年に便乗して23区内に専用スタジアムを建設するなど、是非アジア最高のサッカーコンテンツを目指していただきたい。

 

 中国はこれからも欧州級の補強資金を背景に、次々と大物選手を獲得するでしょう。しかし、本当に「観たいコンテンツ」となるにはもう少し時間がかかるはずです。今のうちに「開かれた場」となることで投資を促す仕組みをつくらなけば、勝ち目はなくなるでしょう。それどころか、日本サッカーの崩壊の足音すら、聞こえてくるかもしれません。

 困難な道のりであることはわかります。でも残念ながら、野球やゴルフの組織には手本を見せてくれる力はないでしょう。サッカーからやるしかないんです。超高齢化社会でのプロスポーツビジネスのあり方、そして社会とのかかわり方。

 サッカーから、やるしかない。

 

【了】

  

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「ほぼ負けることのない戦いが、そこにはある」問題

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カーボヴェルデ」をご存じでしょうか?

 

 

恐らく日本人の認知率はかなり低いんじゃないかと思います。

 

これ、国名なんです。

 アフリカ大陸の西の沖合、つまり大西洋側の諸島から成る島国で、面積は滋賀県と同程度、人口は約52万人で板橋区よりちょっと少ない程度という、まあお世辞にも大きいとは言えない国です。バナナやサトウキビを中心とした農業とマグロ漁などが主な産業で、スポーツではサッカーが最も盛んですが、もちろんワールドカップに出場したことはありません。

そして、最新のFIFAランキング(2016年5月)で日本より10ランク上に位置する国です。

 

えっ!? って話ですが、そうなんです。

 

残念ながら57位に甘んじる日本を差し置いて、47位に君臨していらっしゃいます。アジア勢でカーボヴェルデより上位にいるのは、42位のイラン代表一国のみです。

 

数年前に日本のランクを追い抜いて以来、残念ながらほぼ安定的に日本を上から見下ろす立場にいます。

 

日本がそんな順位だということを嘆く稿、というわけではありません。

 

FIFAランキング」のカラクリと意味

  このアフリカの小国が、仮にもアジアの盟主(と私は自認している)である日本代表より高いランクにある理由として、FIFAランキングのシステム上のカラクリがあります。

 

 現在のFIFAランキングの算出は複雑なポイント計算式に基づいており、単純な勝ち数の積み重ねだけでは、なかなか順位を上げることができません。対戦相手の強さや、その試合の重要度(例えばW杯やアジア杯などのプライオリティが高い大会か、そうではないただの親善試合か)、試合実施日の古さ(より最新の戦績を重視)などによって、一定の係数がかけられます。

 ざっくり言うと、日本を追い抜いた時期のカーボヴェルデは、重要度の高い(係数が高い)アフリカ杯やW杯予選で、格上相手(同じく係数が高い)に好成績を出し続けたために、短期間でポイントを荒稼ぎできたというわけです。

 

 なんだ、そうだったのか。・・・と、胸を撫で下ろすには早いのです。

 

 よく「FIFAランキングなどあてにならない」と言われますが、あてにならないからといって軽視できる代物でもないのです。

 なぜなら、日本が最大の目標とするワールドカップにおいて、グループリーグのシード国はFIFAランキングを元に決められるからです。つまり、FIFAランキングが低いほど、強豪ばかりのグループに弱小国枠で放り込まれることになるわけです。これはマズイですよね。

 

「ほぼ負けることのない戦いが、そこにはある」問題

  それではとばかりに、日本もどんどん格上との戦いを組んでランキングを上げいきたいところです。しかし、残念ながらそうもいかない事情があります。

 端的に言いますと、日本代表は「格上と重要度の高い試合で戦う機会」が非常につくりづらい環境にあります。

 

 まず地域的な問題。アジアサッカー連盟(以下AFC)に所属する日本は、当然アジアが主戦場となります。長丁場を戦い抜くW杯予選、そしてアジア王者決定戦であるアジア杯などがその舞台です。必然的に日本より上位の国が少ないアジア勢ばかりと対戦するわけで、格上と対戦することになりづらい構造です。

すなわち世界の強豪国(格上)と真剣勝負(重要度の高い試合)をするためには、アジア杯優勝で出場機会を得られるコンフェデレーションズ杯に出るか、W杯に出るくらいしかありません。また、いくら強豪と戦う場を得ても、そこで負けてしまっては当然ポイントはもらえません。

  

 また厄介なことに、FIFAランキングのもう一側面として、所属地域間の係数というものが存在します。つまり南米や欧州などの“列強”と比較して、アジアや北中米などの強豪圏と言えない地域では、獲得ポイントに対してマイナスの係数がかかります。例えば対戦相手が同じFAIFAランキング50位の国だとしても、「50位のアジア」に勝つよりも、「50位の南米」に勝つ方がポイントが得られるわけです。つまり、南米や欧州の国々は、AFC諸国相手の勝利がポイント的には「美味しくない」ということです。ポイントが得づらく試合経験としても微妙、その上遠方のアジア勢と試合をすることに、単純にメリットが少ないわけです。これまたマズイですね。

 

 つまり日本は、元々とてもランキングが上げづらい環境に身を置いているわけです。

 

 そして、この問題の最大のデメリットは、実戦強化の面でしょう。ザッケローニ監督が就任した2010年10月以降で見ると、日本がアジアの国々と戦った戦績(親善試合を含む)は、48戦33勝10分5敗。勝率68.7%、敗戦率は10.4%となり、実質10回に1回、1年に1回程度しか負けません。

 「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」という国民的キャッチフレーズもありますが、実質は「ほぼ負けることのない戦いが、そこにはある」状態です。このアジアでの戦いが代表戦の大半を占めるわけですから、世界の強豪圏と比べて実戦強化の面でのハンディがいかに大きいかは推して知るべしでしょう。

 

どう考えるべきなのか?

 日本代表の現在の世界ランキングは57位。客観的に見ると、57位の国がW杯で優勝したら奇跡でしょう。 じゃあ奇跡でも起こらない限り優勝はできないのかと肩を落としそうですが、今シーズンの欧州では奇跡を起こしたチームがあります。

そう、先日プレミアリーグを制したミラクルレスターこと、レスター・シティです。

また個人的には、ここ3シーズンで2度のCL決勝進出を果たしているアトレティコ・マドリードも、奇跡と言わないまでも驚異の大躍進をしたチームだと思います。

レスターとアトレティコ、彼らに共通するのが、チーム哲学とも言える域にまで徹底されている堅守速攻、カウンター戦術です。

じゃあ日本代表もカウンター主体のチームになりましょうと言うわけではありませんが、優勝するはずのないチームがジャイアントキリングをやってのけた事例からは、素直に勉強したいものです。

 

 重要なのは、カウンターアタックが優れた戦術だから彼らが躍進したわけではなく、置かれた環境に見合ったベストな戦略(strategy)に基づいて選んだ戦術(tactics)としてカウンターを突き詰めたのが正解だったということです。

 カウンターありきではなく、結果としてカウンターを採用したということ。似ているようで大きく異なります。もしも彼らが、監督の理想に合わせて各ポジションに自在に最高レベルの選手を集められるビッグクラブだったとしたら、今のようなスタイルのサッカーはしていないでしょう。

 置かれた環境に見合ったベストな戦略で結果を出したチーム、それがレスターとアトレティコです。日本代表が参考にすべきは、こういう事例なのではないでしょうか。世界57位の日本が華麗なパスサッカーで、ましてやバルセロナのようなポゼッションサッカーで世界の強豪を打ち破っていく姿は、正直想像し難いです。いくら欧州のリーグで活躍しているとはいえ、誰一人バルセロナでプレーしていない選手たちを集めて、バルセロナのようなサッカーをしようというのは、そもそも無理でしょう(ハリルさんはそんなこと言ってませんが)。

 

 私が求めるのは、ポゼッションとカウンターのバランスを意図できるインサイドワーク、臨機応変さです。

 思うんですよ。実は日本はカウンターもハイレベルに進化させることができるお国柄だって。

 

日本には、できると思う

 日本代表のゴールシーンは、我が国ながら尊敬してしまうほどに、密集地帯をこじ開けて決めているものが多いです。相手が自陣に引きこもる状況が常態化しているため、必然的にそこをこじ開けるシーンが多くなるわけですが。それこそバルセロナ並みに密集地帯をこじ開けてます。 

 とは言え、W杯本番では相手のキープ力やカウンターの切れ味がUPするため、アジア予選と同じ戦い方はできません。相手がドイツやスペインでも、ポゼッションサッカーで臨めるでしょうか?

過度なパスサッカー信仰が、カウンターという持っていてしかるべき武器を鍛え上げる妨げにならなければと危惧しています。

 

 ポゼッションもカウンターも流れの中での一状態・一現象であり、どんなチームにも共に必ず双方を行う機会が訪れます。要は試合の中での多い少ないであり、もっと言えば、その一状態・一現象を意図しているかいないかです。

 ハードワークを厭わず、組織力がDNAに強く組み込まれた日本人は、元々堅守を築ける素地を持っていると思います。個人的には、今のミッドフィルダーサイドバックのクオリティ、排出人数が維持されていくのであれば、あとは優れたセンターバックを二人確保できれば、どんな相手にも通用する堅守速攻が可能になると考えています。フォワードはいわゆる0トップ戦術でもいいと思います。だからセンターバックの選手には、どんどん海外挑戦してほしいですし、実際10~15年くらいで、センターバックにはゲームメイク能力も求められるようになり、全ポジション海外経験は不可欠になると予想しています。

 

 日本には、できると思います。実際これまでも日本代表は、強豪国相手に素晴らしいカウンターアタックを数々決めています。日本ほどの献身性を持ったハードワーカー集団が虎視眈々とカウンターを狙ってきたら、私だったら恐さを感じますよ。

  

 日本では「弱者の戦術」としてネガティブに捉えられがちなカウンターですが、私には未開発の必殺技、希望の光にしか見えません。過度なパスサッカー信仰とアジアという特殊な環境が、「思考停止=日本サッカーの足踏み」にならないことを祈るばかりです。

 レスターのプレミア優勝に続いてアトレティコがCL優勝となれば、わかりやすい一石が投じられるのではないかと期待しいます。

  

【了】

 

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「祝」優勝まとめ ①/レスター優勝、本当の「レア度」

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決めてくれました。

 

レスター・シティイングランド・プレミアリーグ初制覇。(アザールさん、ありがとうございます)

 

「奇跡」、「奇跡」、「奇跡」。。。

 

マスコミには「奇跡」の二文字が乱舞しました。

 

「奇跡」の度合いを示す目安として、イギリスのブックメーカーのオッズも盛んに取り上げられました。レスターの優勝オッズは5000倍で、これは「ネッシー実在」や「エルヴィス・プレスリーが生きていた」と同レベルだとか。つまりレスターの優勝は、「あり得ないこと」、「悪い冗談」に類する話だったというわけです。

 

それだけ「無理」と思われていたチームが、世界最高峰の、それも38試合を戦い抜く長丁場のリーグ戦で優勝したという「世紀の番狂わせ」。大騒ぎになるのも当然でしょう。

 

 この稿では今回の優勝に敬意をこめ、もう少し詳細を語りつつ、レスター・シティ優勝の凄さと、それによってもたらされるものについて書いていきたいと思います。

 まずはビッグビジネスとなった現代サッカー界において、具体例を交えつつ、レスター優勝の「レア度」を検証したいと思います。 

 

そもそも何が凄いのか?

 

 以前の稿でも書きましたが、現代の欧州サッカー界は“超”格差社会です。 

 

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  持てるビッグクラブと持たざる中小クラブには天と地ほどの資金力格差があり、無論その格差は所属選手のレベルにも反映されています。

オイルマネーに代表される巨大な資金力を背景に、100億円以上の移籍金(選手が移籍するクラブ間で支払われるお金)と数十億円の年俸を払って、世界中からスーパースターをかき集めるビッグクラブたち。スター軍団を組織して、毎年当たり前のように優勝争いを演じ、自国リーグ戦、自国カップ戦、ヨーロッパでの戦いを同時進行で華々しく勝ち進んでいきます。サッカーファンでなくともスポーツニュースで頻繁に目にする名前、バルセロナレアル・マドリードマンチェスター・ユナイテッドなどがそれにあたります。

 一方その他の中小クラブは、自前で育成した選手と市場価値の“割安”な選手で構成せざるを得ないため、当然スター揃いのビッグクラブより上位に食い込むことは難しく、下部リーグへの降格を免れたことに胸を撫で下ろすような暮らしを続けざるを得ません。

  とりわけ4大リーグと言われるスペイン、ドイツ、イングランド、イタリアは、強烈なビッグクラブが複数存在しているため、この傾向が顕著です。

 今回レスター・シティが優勝したイングランドプレミアリーグは、サッカーの母国のリーグであり、市場規模と人気もサッカーでは世界一。まさしく世界のサッカーの中心地、一丁目一番地です。レスター・シティ優勝は、そこで起こった事件です。具体的に見ていきましょう。

 

プレミアリーグで優勝することの難しさ

 

 イングランド・プレミアリーグの創設は1992年。

 サッカーの母国なのに、リーグの創設が24年前というのはおかしな話に見えますが、もちろん100年以上前からリーグはありました。

 

 なぜ24年前を機に新たなリーグとして創立されたのか? その理由こそが、前身の「フットボールリーグ」が現在の「プレミアリーグ」に変わった経緯であり、現在のサッカー(スポーツ)界の爆発的な商業化につながる「テレビ放映権料」をめぐるいざこざでした。ざっくり言うと、それまでのイングランドでは、テレビ局からもたらされる放映権料が不当に安かったため、人気チームから不満の声が上がり、相応の対価を得るべくフットボールリーグから独立。彼らが“恩恵を受けられる”制度で新設したのがプレミアリーグというわけです。

 

 そもそもの生い立ちが「相応の経済的対価を受ける」という考えに基づいているリーグですから、爆発的に高騰していくテレビ放映権を礎に、急速に市場規模を拡大していきました。

 元々豊富な資金力を持っていたビッグクラブは、市場拡大の恩恵を活かして急激に売上を伸ばしていきます。現在のスポーツ界の商業化は、1984年のロス五輪が端緒と言われていますが、1992年のプレミアリーグ発足、1995年のボスマン判決と、今に至る道筋が骨格を成した時期だったということでしょう。当時はイタリアやスペインの後塵を拝していたイングランドサッカーですが、瞬く間に世界中のスター選手が集まる世界最高峰リーグへと躍進します。

 このように、ある意味経済原理に対して忠実にスタートしたと言えるのがプレミアリーグです。発足後は売上だけでなく、その勢力図も経済原理に連動して推移してきました。 

 それを示すように、過去23シーズでの優勝クラブはわずかに「5」クラブ。マンチェスター・ユナイテッド(13回)、チェルシー(4回)、アーセナル(3回)、マンチェスター・シティ(2回)、ブラックバーン・ローバーズ(1回)という内訳です。

 

 ブラックバーン以外はいずれも豊富な資金力を誇るビッグクラブであり、かつブラックバーンが優勝した当時の1994-1995シーズンは、今ほど異常なサッカーマネーの高騰が起こる前夜でしたから、今に比べれば「隙」があった時代です。とは言え、当時のブラックバーンのオーナーであるジャック・ウォーカーは、アラン・シアラークリス・サットンという、当時のイングランドで最高レベルにあったストライカーを立て続けに獲得。それぞれが当時のイングランドの移籍金最高額を更新する獲得劇だったため、その時なりに「持てる者」がスターを集めて勝ったという図式でした。ちなみシアラーの移籍金は330万ポンド(5億円強)、サットンは500万ポンド(8億円弱)ですから、今にして見れば本当に「カワイイお買いもの」です。(※岡崎慎司マインツ→レスター=700万ポンド)

 

 このように、とにかくお金がないと(スター選手を揃えないと)勝てないリーグ。それがプレミアリーグです。また、この傾向はイングランドに限ったことではありません。サッカー界全体が、爆発的商業化に伴って、持たざる者の勝てない世界になっていることを 再確認いただきたいので、プレミアも含めて4大リーグと呼ばれるスペイン、ドイツ、イタリアについても見てみましょう。

 

世界的に番狂わせはできなくなった

  

 まずはスペインのリーガ・エスパニョーラプレミアリーグ発足と同じ1992年以降の優勝クラブを見てみましょう。その内訳は、バルセロナ(11回)、レアル・マドリード(7回)、アトレティコ・マドリード(2回)、バレンシア(2回)、デポルティボ・ラ・コルーニャ(1回)。

プレミアリーグと同じく、わずか5つのクラブしか優勝していないことがわかります。しかも、23シーズンのうち18シーズンをバルサとレアルの2クラブが独占していて、「2強」の図式が顕著です。

 この期間に2回優勝しているアトレティコも、リーグ通算優勝回数は10回、バルサとレアルに次ぐ人気を誇る名門です。同じくバレンシアも通算6回の優勝経験があり、名門クラブと言っていいでしょう。

 この期間で唯一初優勝だったのは、1999-2000シーズンのデポルティボ・ラ・コルーニャですが、彼らとて優勝前の過去10シーズンで2位3回、3位2回と、非常にハイレベルな成績を挙げているクラブ史の全盛期であり、当時世界最強だったブラジル代表のマウロ・シルバとジャウミーニャ、後にバイエルンのエースとして活躍するオランダ代表ロイ・マカーイらを擁していて、やはり7年前は3部にいたレスターとは似た状況と言い難いチームです。

 プレミアリーグは今シーズンのレスター・シティを加えて、創立から24シーズンでの優勝クラブが「6」となりましたが、リーガは今シーズンも「2強」とアトレティコによる3クラブの優勝争いですので、その数が「5」から増えることはありません。

 そう。スペインでも四半世紀近く番狂わせは起こっていないわけです。

 

ドイツ、イタリアでも・・・

 

 それでは多くの日本人選手が活躍するドイツのブンデスリーガはどうでしょう。優勝クラブの内訳は、バイエルン・ミュンヘン(13回)、ボルシア・ドルトムント(5回)、ヴェルダー・ブレーメン(2回)、ヴォルフスブルク(1回)、シュツットガルト(1回)、1FCカイザースラウテルン(1回)の「6」クラブです。今季もバイエルンが優勝する見通しなので、24シーズンで14回の優勝を遂げることになります。こちらは限りなく「1強」に近い2強体制といったところでしょうか。

 この間優勝1回の4クラブについても、ブレーメンが4回目、シュツットガルトが5回目、1FCカイザースラウテルンが4回目と、それぞれ複数の優勝経験がある古豪です。2008-2009シーズンに長谷部誠を擁して初優勝したヴォルフスブルクが最も実績の無いクラブですが、1945年創立で、1997年の1部昇格以降は今季に至るまで降格なしという安定感。なによりチーム背景として、フォルクスワーゲンのお膝下でスポンサードを受けていることによる安定した資金力を持つ点が、路頭に迷ってタイ企業に拾われたレスターと比べると雲泥の差です。

 つまりドイツでも、レスターのような番狂わせは起こっていません。

 

 そしてイタリアのセリエA。こちらはユヴェントス(9回)、ACミラン(6回)、インテル(5回)、ローマ(1回)、ラツィオ(1回)となっています。(※八百長スキャンダルの制裁措置として、2004年のユヴェントスの優勝は無効)優勝チーム数は同じくスペインと同じく「5」。今シーズンもユヴェントスが優勝を決めており、長きにわたってユーヴェ優位の「3強」体制が続いています。ローマ、ラツィオにしても強豪の一角として優勝しており、ともに初優勝ではありません。

 そうです。セリエAでもジャイアントキリングは起こっていないのです。

 

現代サッカー史に風穴があいた

 

 こうして見てきたように、「一部の強豪による優勝持ち回りの合間で、ごく稀に古豪や中堅が勝てるかもしれない」という図式が、現代の欧州リーグの現状です。

 過去に強かった時代もなく、今持っているお金もない。そんなチームが優勝するというケースは消え去りました。

 言ってしまえば、「番狂わせが起こったことがない」のが、現代の欧州サッカーリーグなわけです。

 

 でも、今季レスターが勝っちゃった。

 

 こうして見ると、創設133年目に5000倍のオッズで優勝したことよりも、商業化が完成されて以降の「現代サッカーで史上初の番狂わせ」という意味合いが、より偉業として讃えられるべき部分だと思うのです。

 

 さて、今回はレスター優勝について「レア度」という側面からまとめてみました。レアどころか、歴史に風穴をあける事件だったと言えるでしょう。

 

 次回は優勝の内容と、それがもたらすものについて書いていきます。

 

【了】※敬称略

「優勝王手」、レスターイレブンの経験値が凄い。

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 サッカーファンは、いよいよソワソワしてきましたね。

 

 イングランドプレミアリーグは、4月25日の第35節で2位のトッテナム・ホットスパーウェスト・ブロムウィッチと引き分けたことにより、首位レスターとの勝ち点が「7」の状態で残り3節となりました。

 油断は禁物ですが、レスターとしては残りの3試合で勝ち点「3」を積み上げればトッテナムの結果に関係なく優勝が決まります。なおかつトッテナムは全勝、もしくは2勝1分けが絶対条件という非常に有利な状況です。言ってしまえば、よほどのことがない限りレスターが優勝するでしょう。

 まあ、レスターが優勝すること自体が「超よほどのこと」なので、「よほどのことがない限り」という言い方にも違和感をおぼえてしまいますが(笑)。 早ければ次節(アウェイのマンチェスター・U戦)で優勝が決まります。

 

 さて、現代のおとぎ話とも言えるレスター・シティの物語が完結へと近づく中、小さなクラブならではの様々なトピックスが取り沙汰されています。

 5年前まで工場で副業をしていた29歳のシンデレラストライカー、ジェイミー・バーディをはじめ、創設以来132年間優勝経験がないというクラブ史、プレミアリーグ20チーム中17番手という年俸総額の安さなどなど。

 そんなレスターの話題に事欠かない中ですが、この稿では「レスターイレブンの経験値」という側面を見てみたいと思います。

「年俸が低いとか、優勝経験がないとかはわかるけど、案外″昔は凄かった選手”が揃ってるんじゃないの?」そう思う方には是非、彼らの「経験値」を再確認していただきたいです。

 

どれだけ「やってきた」メンバーか?

 

まず、下記がほぼ固定されているレスター・シティスターティングイレブンです。 

GK カスパー・シュマイケル

DF ウェス・モーガン

DF ロベルト・フート

DF ダニー・シンプソン

DF クリスティアン・フクス

MF ダニー・ドリンクウォーター

MF マーク・オルブライトン

MF ヌゴロ・カンテ

MF リヤド・マフレズ

FW ジェイミー・バーディ

FW 岡崎慎司

(監督 クラウディオ・ラニエリ

 

 

 CL、ELという欧州の戦いに参加権がないことや、国内のカップ戦ですでに敗退していることもあり、ほぼこのスタメンを軸に戦ってきました。大きな怪我人も出ず、ターンオーバー制を敷かざるを得ないビッグクラブと比べて、この点が有利に働いたことは間違いないでしょう。

  

 そして下の一覧は、彼らスタメンイレブンのキャリアを通じてのプレミアリーグ実働年数と、4大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア)における1部でのリーグ実働年数(カッコ内)です。

 
シュマイケル(29) 実働3年目(3年目)
モーガン(32) 2年目(2年目)
フート(31) 15年目(15年)
シンプソン(29) 実働8年目(8年目)
フクス(30) 1年目(8年目)
ドリンクウォーター(26) 2年目(2年目)
オルブライトン 実働7年目(7年目)
カンテ(25) 1年目(1年目)
マフレズ(25) 2年目(2年目)
ジェイミー・バーディ(29) 2年目(2年目)
岡崎慎司(30) 1年目(6年目)
ラニエリ(64) 1部リーグ優勝経験なし(監督歴30年)

 

 

いかがでしょう。

経験豊富過ぎて涙がでそうじゃありませんか?

ダーマ神殿に行っても、ほとんどのメンバーがまだ転職できないくらいの経験値じゃありませんか?

 

 中盤から前はオルブライトン(代表歴なし)の実働7年目を除き、全員プレミアリーグ初挑戦もしくは2年目。ここまでリーグMVP級の活躍をしてきたバーディとマフレズ、そしてイングランド代表にも初選出されたドリンクウォーターの3人にいたっては、1部リーグで戦うこと自体も2年目というキャリアです。そんなメンバーたちが織りなす攻撃が、並み居る強豪マネー艦隊を次々に撃沈させてきたとは、痛快以外の何物でもありません。

 ワールドクラスのFWを相手に堅守を誇るベテラン揃いのDF陣(失点の少なさはリーグ3位)も、キャプテンのセンターバックモーガン(32)が、1部リーグ経験2年目というデータが泣かせます。

 チェルシーで若干17歳でデビューを飾り、ドイツ代表歴もあるフートは別格として、こうして見ると岡崎もレスターではトップレベルの経験値を持つエリートですね。マインツからの獲得時にチーム史上最高額の移籍金が支払われたことも納得できます。

 つまりレスター・シティは、1部リーグで順風満帆にキャリアを積んできた選手の集団ではなく、下部リーグ暮らしの長い選手たちを主力とする雑草集団なのです。

 

経験値とは何か?

 

 こうして見てみると、「経験値」とは一体何か?と考え込んでしまいそうです。

 私のような一般人の人生なら、日の当たらない場所で歯を食いしばり耐え忍ぶことも、長い目で見て「経験」と割りきれそうなものです。しかし、せいぜい十数年が現役のタイムリミットである超エリート社会のサッカー界では、ちょっと下部リーグで耐え忍んでいるつもりが、取り返しのつかない時間となってしまうこともザラです。

そういう意味では、それぞれの雌伏の時を経て、強い「雑草魂」を身に付けるという経験値を積んできた反逆児たちの集団。それが今のレスター・シティなのかもしれません。

 

 

 最後に、この反逆児集団を率いる知将、クラウディオ・ラニエリ(64)。これまで数々のビッグクラブを指揮し世界的に名の知られた監督でありながら、未だ1部リーグでの優勝経験がありません。

 最終節の対戦相手チェルシーは、アブラモビッチ氏のオーナー就任で、当時優勝を逃したラニエリプレミアリーグから追放したチームです。12年の時を経て、彼は同じブルーのユニフォームのチームを率いてスタンフォード・ブリッジに戻ってきます。それも信じがたい状況を生み出して…。無冠の指揮官の運命の糸は、この日に結びついていたのかもしれません。

   どんな日陰の日々だろうと、戦い続ければいつかそれを、いい経験だったと笑える日が来る。。。かもしれない。そう感じさせてくれるレスターの、ラニエリの「経験値」でした。

 

【了】

 

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